思惟石

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『笑う警官』マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー&佐々木 譲

2017-10-17 16:54:17 | 日記
読んだ順番としては、佐々木譲の『笑う警官』が先でした。
氏の「道警シリーズ」第一作。
結構、評判が良いみたいだから…と読んだ割に
私はピンと来なかったんですよね。

物語の背景として、実際にあった北海道警察の大々的な不祥事
というものが据えられているのですが。
説明がちょっと少なかったというか
「みんな知ってる、あの事件だよ~」って感じで。
要するに、世事に疎い私が悪いのだが…。

ミステリとしては、うん、犯人わかる。という程度のものですが、
お話しのメインは警察機構の腐り方や、
それでも一部の人間にはある仲間意識やプライドや、
そこから生じるゆがみだったりして、
それらはとても面白く読めました。

と思ったら、この小説は名作警察小説へのオマージュなのですね。
チャームポイントが、まるごと、本家のものでしたよ。

というわけで本家本元の
マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー夫妻による
『笑う警官』を、読んだ次第です。

おお!
こちらは流石です!
面白い!!!

スウェーデン・ストックホルムが舞台の警察シリーズです。
1960年代の作品ですが、古さはあまり感じません。
まあ、スウェーデン事情に疎いってだけですが。
でもね!疎くても楽しめるんです!
そういうのって、大事じゃないですか!
ポンコツな私に優しくしてくれ!!(求めすぎか?)

主人公はマルティン・ベックであるものの、
個性溢れる刑事たちがチームとして動き、
それぞれがそれぞれの特長や主義を持って
地道(ホントに地味!)に捜査を進める物語。

この、地味~な活動の積み重ねが、
侮りがたいほどにリアルだし共感できるし
魅力的。且つ面白い。

1960年代スウェーデンの、反アメリカ感情(反戦感情)とか、
世界情勢に疎い私はふむふむと思って勉強になりました。
訛りで地方者出身だとバレる感じとか
(そもそもスウェーデンの地域に言語差があるなんて
考えてみたことなかった)、
ストックホルムと地方の価値観の違いや偏見に、ふむふむと。

もちろん今も昔も変わらない夫婦間のアレコレや
人間関係の機微にも、ふむふむ。

犯人捜しの本筋だけでなく、全体を通して面白く読めます。
個人的にはグンが裸でミルクつくるシーンが最高に良い。
30秒(だっけ?)でできないじゃない!ってぷりぷりしてるとこ。

ちなみにこちらの『笑う警官』は、
「マルティン・ベック」シリーズの第4作目だそうです。
第1作目の『ロセアンナ』も読んでおこうっと。

ちなみにちなみに道警シリーズは、
単行本では『うたう警官』というタイトルだったそうです。
文庫化の際に、名作に寄せたタイトルに改題したようです。
まったく私的な感想ですが、
元のタイトルにしておいた方が良かったんじゃないのか。

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